スズキコージさんの絵本『やまのディスコ』の感想です

大人におすすめナンセンス絵本

たのしいはずのディスコで起こるハプニングに、ディスコの中は大変な騒ぎに。一緒に騒ぎたくなります。山の上でディスコを経営する、くまの大将の商魂に感心します。


スズキコージさんの『やまのディスコ』のストーリー

みねこさん(白馬)とさんきちくん(ヤギ)は、山の上のディスコへ向かいます。ふたりともディスコは始めて。踊るのも初めてです。
山の上のディスコには、多くの動物たちが集まっています。生バンドの演奏に合わせて、踊っていると、ハチも踊り出します。そこからが大変。
蜂がライオンのよしおくんの鼻を刺して、よしおくんのお父さんが乗り込んできて、ディスコの中は大変な状態に。とにかくドタバタです。


みねこさんとさんきちくんがクールでイケてる

最初に登場するみねこさん(白馬)とさんきちくん(ヤギ)がかっこいい。

スズキコージさんのキャラクターにしては珍しく、どちらもハイセンス(ファッションも出で立ちも)で、素敵です。

さんきちくんなんて、トップ俳優のようなオーラが出ています。

さんきちくんイメージ


そして、ディスコに集まっている動物たちはみんな可愛い。中にはちょっとヘンテコな動物もいますが、ディスコの中のぎゅうぎゅう詰めの動物たちを一人ずつ確認していくと楽しくなります。


何か分からない動物もいます(動物ではなく、カカシかなと私が思っている生き物もいます)。

とにかくその後に起きるハプニングも含め、ディスコの中の様子がこの絵本で一番楽しめるところです

ディスコは生バンドの演奏で、そこも躍動感の一因かもしれません(私がバンドやっているからかも)。

あとは、ディスコの周辺の自然がとても気持ちいいです。
さんきちくんがバイクでディスコへ行く途中や帰る途中の景色は緑が広がってほんとうに素敵です。

 

くまの大将のビジネス魂に感心です

気になるのは、ディスコを経営しているくまのたいしょうです。彼は、入場料として、栗の実10個をお客さんから徴収しています。

商売としてディスコをやっているってことですね。

くまのたいしょう(イメージ)


そしてディスコの中で、ハチが暴れ出すと、すぐにハチよけの網をかぶってあらわれて、くりのみ5こで網を貸しますよっと商売をします。(売るのではなく貸すのもポイントですね)

最後にディスコがめちゃめちゃになってしまい、お客さんもいなくなるのですが、とにかく商売に対する想いが強い。


スズキコージさんの絵本で、現実世界を風刺的にとらえているものは、他にもありますが、この絵本ははっきり商売についてのおかしさを指摘しているように感じます。


だって、蜂が暴れだして、すかさず網を貸すって、あらかじめ準備しているってことじゃないですか。

もしかしたら蜂のハプニングも演出?と思わせます。よくディスコの中をみると、ミラーボールのように蜂の巣が釣り下がっているのです。

やりますね、くまのたいしょう。


さいごに「次はやまのプールやってみようかな」と傷だらけになりながらも、次の商売のことを考えていて、ちょっと感心してしまいました。

※スズキコージさんの本は、廃版になっていたり中古で高額販売されている場合がありますので、ご注意ください。

やまのディスコ 
スズキコージ (作)
出版社: 架空社
発売日: 2008/10
本のサイズ:23 x 30 cm(タテxヨコ)
ページ数:32ページ
価格:1,500円+税(購入時の価格です)
主人公:みねこさん(白馬)とさんきちくん(ヤギ)
登場動物:ウマ、ヒツジ、ヤギ、クマ、ニワトリ、ライオン、キツネ、ネズミ、ブタ、コウモリ、トカゲ