ブレーメンの音楽隊については、子供の頃テレビで見た記憶はあって、なんとなくストーリーは知っていました。ただこの絵本で読むと、かなり『せつない』お話。
スズキコージさんの絵と相まって、泣けますよ。
スズキコージさんの『ブレーメンのおんがくたい』のストーリー
老いぼれて、家にいられなくなったロバは、同じように家にいられなくなった犬・猫・おんどりと旅に出ます。旅の途中で、泥棒が住む家を見つけます。美味しいご馳走を食べる泥棒たちを見て、4匹の動物は、あることを思いつき実行します。果たしてその結果は。
ブレーメンの音楽隊というお話ってご存知ですか?
私はストーリーの断片は記憶にあるのですが、お話を読んだり、絵本などを見た記憶がありません。
たぶん、テレビの番組(NHKかな)で昔やっていてそれで覚えているのではないかなと思います(自信はありません)。
というわけで、この絵本のストーリーが本家ブレーメンの音楽隊と同じかがわかりません。この絵本ではブレーメンへ行って音楽隊になることを目指す4匹の老いぼれた動物の、ブレーメンへ行く道中のお話です。
この絵本ですごく好きなページがあります。それはブレーメンへ向かう4匹の後ろ姿が描かれているページ。
不安もありながらも、行くしかないという、弱った自分を鼓舞しているように私には見えます。強い決意とは言えない、でも踏みとどまることはできないから前に進む。そして横には仲間がいる。
ぐっときます。なんだか泣きそうになります。
最初に捨てられそうになったり、いじめたりしていた動物たちの、ほんとうにへばっているシーンを経ているからだと思います。
このページだけでも、ずっと見ていられますね。
あと、夜の場面が何度かあるのですが、このバックの色がめちゃめちゃ良いんです。ターコイズブルーを少し濃くしたような、凛とした静寂を感じる色。
スズキコージさんの絵の描き方でいうと、この絵本は色鉛筆とボールペンで描かれていて、バックだけ絵の具で塗っているのかなあと思います。
全体にトーンがきれいで、スズキコージさんの爆裂具合も控えめで、美しくて好きなタッチです。
主人公の動物たちがみんな歳をとって、捨てられそうに
やっぱり歳をとって老いるのは、誰かの迷惑になるんですかね。
つい将来の自分に置き換えて考えてしまいます。
今の自分が老いたとき周囲にどう関わっているのかって、わからないじゃないですか。
もし自分が、誰にも何にも役に立たなくなったら、どうすればいいんだろう。きっと誰かに迷惑をかけてしまう。そのときどうすればいいんだろう。
彼らのように、街へ出て音楽団に入れてもらおう、なんていう道が自分にも見えるのだろうか。
同じような気持ちの仲間と出会い、新たな希望に共に歩いていけるだろうか。
そんな感じで、遠くの方(たぶん自分の将来)を見てぼーっとしてしまいました。
※スズキコージさんの本は、廃版になっていたり中古で高額販売されている場合がありますので、ご注意ください。
池田香代子作 スズキコージ絵
出版社:三起商行
発売日: 1987/11/1
本のサイズ:25.7×24cm(タテ×ヨコ)
ページ数:40ページ
価格:1,500円+税(購入時の価格です)
主人公:ロバ、犬、猫、おんどり
登場人物:どろぼう
登場動物:トリ、ハエ、チョウ
スズキコージさんの絵本は、廃版になっているものもあります。Amazonで高額になっているものもあるのでご注意ください。