ベラルーシというロシアの横にある国の民話だそうです。やりたい放題のヤギを打ち負かすのはいったい誰か。絵がキレイなので、観賞用としてもオススメ。
スズキコージさんの『ガラスめだまときんのつののヤギ』のストーリー
ある日、おばあさんが育てて立派に実った麦を、一頭のヤギが食べていました。おばあさんが起こると、そのヤギは「」だと言って、そのまま居座ります。その後おばあさんは、森の動物たちに相談し、ヤギに畑から出て行ってもらおうとするのですが、なかなか出て行きません。最後に、おばあさんが相談したのは・・・。
ベラルーシの民話だそうです
この絵本は、ベラルーシの民話が元になっているそうです。
著者の田中かな子さんは、翻訳者の方ですので、ストーリーを考えたと言うより、日本語に訳した感じなのかもしれません。
ちなみにベラルーシは、ロシアの横にある、共和国だそうです。
さて、この絵本の面白さは、民話が元になっているそのストーリーです。
畑に現れたのヤギ。麦を食って、ふんずけて、やりたい放題。
おばあさんが「出て行け」と怒っても、「おいらにゃ、ガラス目玉と、金のツノがある。ひとつきするぞ」と出て行きません。
おばあさんは泣きながら森に行き、いろいろな動物に会います。
どの動物も、悲しむおばあさんに協力して、ヤギを追い出そうとします。でも失敗。その度に、泣いちゃうおばあさん。本当にかわいそうになります。
なんとかしてあげたい。誰かなんとかおばあさんを助けてあげて、という気持ちになります。
でも、また失敗。
ここでポイントとなるのは、ページをめくる度に、登場する動物が小さく(弱そうに)なっていくこと。
クマ⇒ オオカミ⇒キツネ⇒ウサギ
という感じ。
つまり、ページをめくって次の動物が現れた瞬間、ああ、キミじゃ無理ではないかなあ、って思ってしまいます。
でも、これが最後の展開に効いてくるのです。
ちなみにヤギ以外の動物は、みんな可愛いし、優しい。
スズキコージさんの描く動物はみんな素敵です。
横長の絵本なのですが、見開きいっぱいに描かれたダイナミックなレイアウトもすばらしいです。
ヤギ、気になります
この意地悪なヤギはとても気になります。
何かベラルーシに伝わる何かがあるのかもしれません。
だって、目玉がガラスで、ツノが金ってあまりにいきなりですから。
このヤギ、他の動物と描き方が違うように感じます。なんかちょっとカクカクしている。
その絵の雰囲気が、悪いヤツって感じで、スズキコージ さんすごいなあと感心します。
あと、この絵本の絵ですが、切り絵が使われているように見えます。別で描いた絵を切り貼りしているように感じ。
森の木とか葉っぱとかが特にそんな感じです。
実際切り貼りか、私には判断できないのですが、この感じが、絵の雰囲気をつくっていて、とても好きです。
額に入れて飾りたいです。
※スズキコージさんの本は、廃版になっていたり中古で高額販売されている場合がありますので、ご注意ください。
田中かな子 訳スズキコージ 画
出版社:福音館書店
発売日: 1988/5/31
本のサイズ:21.6 cm x 34.0 cm (タテ x ヨコ)
ページ数:32ページ
価格:1,200円+税(購入時の価格です)
主人公:おばあさん、ヤギ
登場動物:クマ、オオカミ、キツネ、ウサギ、リス、トリ